「シェール革命後の世界勢力図」 まとめ
- 2013/07/11
シェール革命とは、今まで困難であったシェール層からの石油や天然ガスの採掘が可能になったことにより、世界のエネルギー事情が大きく変わることを指す。(Wikipediaより)
この本の内容は↓の記事に簡潔にまとめられている。
シェール革命で新興国はどうなるか?
■リンク
今さらきけない シェールガス革命って何?
中原圭介の『経済を読む』
中原圭介の資産運用塾 ~New~
以下は要点のまとめ。
帯
・世界はデフレ化し、中国・ブラジルは没落。
・資源が豊かな国ほど、これからどんどん貧しくなる。
・中国は「世界の工場」ではない。アメリカが製造業の中心になる。
・新興国BRICsはもうすぐ普通の低成長国になる。
・デフレは不況の原因ではない。デフレ経済のほうが国民は幸せ。
目次
・アメリカは「シェール革命」で大復活する。
・アメリカは世界最大の資源大国になる。
・いよいよエネルギー価格の下落トレンドが始まる。
・エネルギー価格が下がると、食料の価格も安くなる。
・エネルギー大国ロシアの凋落が始まる。
・ブラジルもバブル崩壊の危機にある。
・多くの問題を抱えるが、シェール革命の恩恵を受けるインド。
・中国の経済成長はもう期待できない。
P39
電気の生産量が中国ではいまひどく落ち込んでいます。中国が10%台の成長を記録していたとき、電気生産量の増加率は前年比で平均14%程度伸びていたのに、2012年以降は平均5%程度で推移しているのです。そのことから見ても、実際の成長率は5%にも達していないのではないかと考えられます。
P60
2012年11月に国際エネルギー機関(IEA)が歴史的な予測を発表しました。それによると、アメリカは2015年にロシアを抜いて世界最大の天然ガス産出国になり、2017年までにはサウジアラビア、ロシアを抜いて世界最大の産油国になるというのです。
P85
アメリカは世界最大の石油・ガス消費国であり、ピーク時には石油の消費量の67%、天然ガスは16%を海外からの輸入に頼っていました。それが、シェール資源の採掘技術の目覚しい進歩により、2011年には石油は消費量の53%天然ガスは8%、2012年には石油は47%、天然ガスは6%と、その輸入比率は減少する傾向にあります。今後もそれぞれの輸入比率は1年に3~5%程度下がっていくだろうと見られています。
P90
トウモロコシは世界生産の4割をアメリカの農家が生産しています。そのアメリカでは、トウモロコシの生産量の約4割をバイオエタノール生産用にあてることを義務づけています。しかし、シェール革命によって原油価格が大きく下がれば、バイオエタノールが完全に価格競争力を失ってしまうことは明らかです。長期的にはトウモロコシは供給過剰となり、価格は下落の一途を辿るようになるはずです。またトウモロコシ価格の下落は、アメリカの農家がトウモロコシから大豆や小麦の生産に切り替える要因にもなりえます。その結果、大豆や小麦の供給量が増加するようになると、それらの価格も下落していきます。
P102
今後の原油価格の見通しはどうなのかというと、長い目で見て、下落の一途を辿ることが容易に予想できます。
アメリカでシェールガスの生産が拡大するにつれて、アメリカ国内のガス価格が安定的に3~4ドルで推移する可能性が高いと判断できるからです。そうなると、原油の需要減少に歯止めがかからず、原油価格は下がり続けることになります。2012年末の価格は90ドル近辺ですが、今後5年以内には50ドルを割り込んでもおかしくはないのです。その結果、金属価格や穀物価格も大幅に下落することになり、世界的な物価の下落傾向が鮮明なものとなっていくでしょう。
P173
中国のGDPが9.5%の伸びを示していた2011年1~3月期や4~6月期の電力消費量は10~15%、貨物輸送量は15~20%の伸びでした。これに対して、2013年1~3月期の電力消費量の伸びは4.3%、貨物輸送量はマイナス0.8%と大きく落ち込んでいます。それにもかかわらず、中国政府は同期間のGDPの伸び率を7.7%と発表しています。
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